バリアフリーな演劇とは?

前回、「メガネで見る字幕ガイド」端末のお試しの話を書きましたが、今月は3つほど観劇をしてきまして、いろいろあってアンケートを出す余裕がなかったので、この際なのでここに感想書いちゃおうかと。
公開していいのか、というのも深く考えないし、タイトルに関して考察は特にしないんですけどね。


11月18日(土)
演劇結社ばっかりばっかりさんの10周年記念公演、『悪い人じゃないんだけど...アナザー』を、シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)の面々で観劇しに行ってきました。場所は板橋区の龍福寺会館っていうお寺の祭儀場。私が他人と一緒に鑑賞するって珍しいって上に、なんて場所だろう、というのはさておき。

このばっかりばっかりさんの公演はバリアフリー公演と題して、視覚障害者にも分かりやすいように音に気を使ったり、聴覚障害者用の字幕も、ただ付けるだけではなく、吹き出しのようにしゃべってる人の横につくって噂のスタイルで、その存在を知ってから見たい見たいと思って、ようやく念願かなったという感じです。
(ばっかりばっかりさんについては、リンクした劇団の公式ブログをご覧あれ。)
今回の公演は、よく一般にいる、障害者にとって良かれと思ってやってるけど何だか的外れになってる人達のことを取り上げたようなコントと、視覚障害者が出てくる落語演目の朗読、そしてコントについてのトークという3部構成。

コントの内容については、私もついついやってしまうようなこととか、あるいはそういう人って見たことあるよねってあるあるネタな感じで面白く、でも実際に深く考えると笑えないかも、ってお話。
そう、こういうの、ぱっと見は面白いんだけど、その裏にあること、またさらにその裏にある立場の違いとかを考えると、結局正しさってなんだ?みたいな感じに思えるし、私は前々から思ってる、障害者の立場に立って配慮って、当人達も言うのだけど、それこそ、世の中の人は千差万別で、それぞれの立場の違いとか、配慮すべき項目を全部が全部覚えてられないし、考えて行動してられないし、そう無理言うなよ、って思っちゃうんだけど、ここで当人視覚障害者でもある美月さんの言う「先回りしない」ことってのが大事で、先回りしていろいろ配慮しようたって、それはそれでムチャなんだから、考えるより声かけるとか、最悪もう考えない、ってのもアリなのかな、って思ったりしました。

そして、楽しみにしていた字幕。本当に吹き出しのように出てくる。さらにしゃべってる人に合わせて吹き出しの枠の色が違ったり、形を変えたりと、とても分かりやすくて、もう見ていて感心しました。まあ登場人物があまり多くないからできることなのかもしれないけれど、本当に感心するほどにちゃんと字幕が付いてて、うれしくなりました。
ただ、前回のメガネ端末の時に「字幕を見に行くんじゃなく、内容を観に行く」の話をしましたけど、このばっかりばっかりさんの公演については、字幕を観に行ったと言っても過言ではないかも、という感じがあって、演劇の可能性としては字幕を最大限に活かしている気はしたんだけど、逆に言うと、これ字幕がないと魅力半減以下になっちゃうんじゃないかな、って感じがして、その辺、演劇として字幕があることで完成度を高めてしまうと、演技そのものはどう判断すべきか、というのが難しいなって思えました。
あー、あと、字幕を気にしすぎて、逆に音に対する部分に気を持っていけなかったってのも、私的にはちょっとミスったかなって感じも。
ってところで、次はコントじゃなく、もっとストーリーの長いお芝居で見てみたいな、と思いました。


11月24日(金)
この日はハシゴで、1つめは、サインアートプロジェクトアジアンの『夏の夜の夢』という作品を見に、最近なぜかよく行っている池袋のあうるすぽっとへ。
実のところ、イメージ的に現代アレンジな作品ってあまり見ることはないんですが、まあサインミュージカルっぽいという話しで、聞こえない人も何人か出てるし、たまにはそういうものも見ておくかと行ってみました。
で。思ったよりちゃんとシェークスピアだったし、バンド演奏も生だし、白い布の使い方とか、疾走感はとても良かったし、舞台後ろの月みたいな枠に字幕を映すってのも面白い演出だなって思って、飽きることなく見られたな、という公演でした。

ただ、ここから酷評しちゃいます。FBの評判とか見ていると「よかった」しかないから(笑)
(それと、アンケートをあらすじの裏に印刷されちゃうと、出せなかったから~。)
誰を対象にして、何を伝えたかったのかがちょっとよくわからなくなってたな、と思いました。
字幕で伝えるのか。手話で伝えるのか。音楽を伝えるのか、焦点が合わせられない。
登場人物も多かったから仕方がないのかもしれないけれど、誰が手話をしているのか、その視点の持って行き方がちょっとわかりにくい。また、私は手話が分かるから分かったけど、聞こえない人が「俺、聞こえないから何言ってるかわからないよ」って手話振ってて特に読み取りもなくて、あれアドリブかもしれないけど、その部分、手話が分からない人に伝えるべき話だよね? でも手話が分からない人には分からないよね? ってところが少しずつ見えて、なんだか消化不良な感じ。
そして、台詞も、劇調な大仰な言い回しになるところがあるんだけど、それも振っている手話は普通の手話なのに、そういう大仰な言い回しだから、ちょっと違和感というか、それはそのレベルまで手話を持っていくのは、やはり多少練習した人程度では難しいかな、という風に感じられて、その辺もミスマッチな感じが。
まあこの辺は辛口に過ぎる気もするし、私は充分に楽しんでたのでいいんだけど、私の隣のおじちゃん、おばちゃんは、おそらく出演者の親族だか関係者と思われましたが、思いっきり舞台の半分くらいは寝てたので、そういう部分、本当に"誰でも"楽しめるものであれば、本当は寝ないで済んだんじゃないかな、という課題が感じられました。

ごちゃ混ぜの楽しさってのは、当人達が楽しむのは簡単なんだけど、それを巻き込んで観ている人まで楽しませるのって、相当難しいよねって、それは私も解を持ってないけど、もっとブラッシュアップ出来そうだな、って思いました。


そしてこの日2本目は、品川の喜多能楽堂にて「『手話』で楽しむ能狂言鑑賞会」ということで、狂言と能を堪能してきました。
こちらは、手話狂言を今までちゃんと見たことないし、能を手話通訳ってなってて、それをどのようにするのかも気になったので、情報を得て即行で一人チケットを取って観に行こうと申し込みして楽しみにしてました。
で、こちらは楽しみにしてた通りにというか、とても楽しめました。
ただ、能楽堂というものを分かってなかったので取った席が真ん前過ぎて、ちょっと柱が邪魔だったけど・・・。ホント、せっかくの能楽堂だったのに、それだけ失敗したよ。
狂言自体もそんなに見たことはないんですが、今回の「墨塗」もとても分かりやすい話で、さらに、なんだろう。手話狂言って。手話での演じられてる所作そのものだけでも十分楽しめる。そして、口上というか、ちゃんと台詞が音声であてられてて、その言葉遣いも狂言なので当然歴史的な物言いなんだけど、全然違和感なく受け入れられるというか、手話との親和性が良いというか、なんだか不思議と双方がすんなり入ってきてすごく笑える、という思いがけない体験でした。
そして、能の「黒塚」も、こちらは手元に解説をプリントした紙があって、それを手話通訳してくれるという形だったわけですが、手元を見るよりも通訳見る方が同時に舞台も見られるので、通訳見つつ舞台見つつってやってたんですが、内容と共に、どういう情景を想像しながら今の場面を見るといいですよ、的なことも追加されてて、これは手話分からない人でもプリント見てれば、より舞台の内容がよく分かるし、能って進行が早くないからそれでも充分に間に合うし、当然通訳見ながら舞台見てれば、その舞台上での所作と同時に、ああそういう動きなんだとか、正直台詞なんて聞いててもほとんど分からないので、その動きと通訳でより分かってしまうというお得な鑑賞してる感じで、じっくりと堪能できました。
特にステージに字幕がしつらえてあったとかそういうわけでもないのに、なぜかこの能狂言が聞こえない人にとっては一番バリアフリーだったんじゃないのかな、って思えました。「聞こえる人も聞こえない人も一緒になって能楽をお楽しみいただきます。」って謳ってて、本当にこれが一番そうだった気がします。
(あ、ちなみにパイオニアさんの体感音響システムとソナールさんの磁気ループは設置されてて、そっちの支援はバッチリだったのかな? 特に体感音響とかは笛の音とかどう聞こえてたのか、後から誰かに聞こう。。)
ただ、最初の解説時の通訳が一人だったので、掛け合いをするのにもう1人いた方がよかったねって思ったのと、自分的にはホント柱が邪魔で、能の面がよく見えない!ってところがあって、次回見る時には絶対にちゃんとした席取ろうと心に決めたのでした。
私、神楽とか昔々に見て親しんでたってのもあるけど、古典芸能好きだわってことにあらためて気が付いた。


てな感じで、3つの公演を通して、やっぱ情報保障とかやってるより、純粋に見て楽しむ機会を持つことは大事だな、と思った次第でしたwww
(なんだ、このオチ。)

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このページは、zyoyatakuが2017年12月 1日 00:00に書いたブログ記事です。

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