マジンガーZは誰のモノ? (『マジンガーZ / INFINITY』鑑賞感想:ネタバレだらけです)

『マジンガーZ / INFINITY』

マジンガーZ好きでありながら、ここ5年くらいで深夜アニメも見るようになった私にとっては、今回の作品はすごく心地よいお話で、とてもジャストフィット、懐かしさも埋め合わせつつ新しいイマドキのものも取り入れた、本当にちょうど良い「完全新作」なマジンガーZだったと。

たぶんに大きな昭和の子ども達はノスタルジックな思い出補正が入ってるので、純粋な感想が持てないと思ったりするこの映画。
でもそうした昭和の子ども達にも楽しんでもらえるものを作ろうと一生懸命昔らしさを出そうと、そして昔あったものを使ったりしようと努力の跡がたくさん感じられます。そして永井作品らしさを出すための強引さ、勢い、エロス、ギャグなどてんこ盛りです。(ただし永井豪氏はこの作品に対してお任せであって、ほぼほぼ関わっていないそうです。)
でも、昔を知らなくても楽しめるものではなくてはならない。そこで平成のアニメとして観ても、確かにいろいろな作品で語られている主義主張は随所に出てくるものの、あくまで最終的に勧善懲悪で落ち着かせるという手法に出ているところ。「マジンガーかっけえ!」って思えるロボットモノとして、まとまっているところに好感が持てます。
観ようによっては八方美人のてんこ盛りで、とても中途半端な印象もあり、私のようにジャストフィットしてる方がおかしいのかもしれませんが、「次はもっと上手くやります」ってさやかさんが言ったように、それでも、やっぱり『マジンガーZ』。すべてはこの名に凝縮されてしまうように、何でもありの最終兵器。どんな形だって良いのです。
いや、そもそも光子力って何よ???

ストーリーに関しては公式サイトにお任せします。http://www.mazinger-z.jp/
ここからは、私が感じたポイントについてまとめつつ感想を書き連ねていきます。


(1)オープニング
のっけからグレートが大暴れします。それに「おっ」って思うし、いきなりノリノリにグレートの必殺技のオンパレードでテンション上がってからの、Zのテーマ曲につながるオープニング。
プロデューサーさんが「こんな昔の絵ばかりでいいのか迷った」と言ってましたが、その兜十蔵氏が孫の甲児にマジンガーを託すシーンで始まります。あれ、結構大事です。そして、この絵でいいのだと私には思えました。このオープニングがあるからこそ、昔の話を引き継いでいるということが分かります。
そいで、グレート好きな人にとっては、グレートの活躍があそこだけだったことに不満があるみたいですが、マジンガー好きにしてみれば、あの最終回でボロボロになってグレートにただ助けられるだけだった力の差が、逆に今度はマジンガーがグレートを助ける存在になるってのが痛快でいいのです。この映画はグレートマジンガーではなく、マジンガーZなのです。ダブルマジンガーとか見たいわけでは無く、単純にマジンガーZが観たかったので、私的にはGJって感じでした。

(2)INFINITY
最初「その部分だけ見て"顔"って判断するのおかしくね?」ってツッコミとか、LISAが出てきたところの上に後でグレートが囚われになってたわけですが、そのサイズ感もちょっとねってところとか、あと色とか顔つき的に明らかに悪役だなって分かるのもどうかと、あと最終兵器ゴラーゴンが起こせるってのも、そこまでの力ってのは実はあんなサイズでは出来ませんよってところもあったりと、もはやツッコミどころ満載な存在なんですが、結局はマジンガーの名前を冠してましたけど、まあ機械獣の親玉として捉えればいいのかなと。
で、こちらが絵柄的にひび割れてるのは、ミケーネ文明から出てきた石で出来てます的なものなのでとってもうなずけましたけど、やっぱりマジンガーもグレートもひび割れすぎてるなあってのは私も思いました。特に、グレートのブレーンコンドルまでひび割れてるのはイカンだろうって思えました。そこは多くの批判の意見と同一です。ある程度のひび割れは関節運動の末に仕方がないとしても、ひび割れ過ぎでした。

(3)LISA
「Large Intelligence System Agent」の略ですから、綾波ではありません。髪の色と顔つきが似てるからって何でも綾波って言わないで下さい。みんなエヴァに影響受けすぎです、って評価なんですが、それこそ運動性能からして綾波と全然違うんで、そこはそこを見ようよって思います。
でも、ちょっとあざとく萌え系の要素を入れてきてしまった感じがしたのと(あのラーメン食ってるシーンとか、ちょっと萌えが強かったかなと)、最後の魔法少女的な演出は微妙な気はしました。個人的には別に嫌いな演出ではないし、隣接場の裏側から地球を見てるって図としてはアリだったんですけどね。
でも、ストーリー的に存在しないと困る方だったわけだし、制服姿とか、それもまあ綾波って言われる由縁になってしまってましたけど、そもそも甲児とさやかの子どもの髪の色がそうなるわけないだろう、というツッコミもありますが、たぶんに差別化をしたらあの色しかなかったのかもしれないので、そこはそこで同情しておきましょう。
声優が上坂さんだったことに関しては、私は舞台挨拶のうさぎ柄衣装にやられているので、許すとしか言えないですw

(4)声優さん
兜甲児役はやっぱり石丸さんでしょうってのは私も思いますが、そういう過去を引きずってノスタルジーに浸るだけのモノを作りたかったのではないというのが今回の作品でしょう。そういう「完全新作」なわけですから、新しい兜甲児でよかったと思います。でも石丸さん、司令官役であんだけしゃべるのなら、やっぱり甲児でもよかったのでは。ジャッキー映画も全編アフレコしててまだまだお元気なはずですしw
剣鉄也は最初私も違和感ありましたけど、2回、3回と観るうちに慣れました(笑) あと、弓さやかの茅野さんは、合ってましたけど、もう明らかにあの当時のちょいダミ声のさやかさんとは全く別物でしたね。
あとは、お笑い人を声優に使ってほしくないって意見もありますが、宮迫さんは声がいいので別格ですね。でもマジンガールズは正直、あのおかずクラブの二人じゃなくてもよかったというか、どうせならホントにセクシー女優さんにやってもらうとかしても良かったのではないかと思います。まあそれを分かってか、舞台挨拶とかに来てなかったのには安心しました。

(5)絵柄
いろいろと表情で演技する場面があったのですが、ちょっと私の好きな絵柄でなかったせいか、作画が乱れてるんじゃね?って思えるところもあって、そこだけが今回の作品で私が好きになれなかったところです。あと泣きのところが多いのも(あ、それは絵柄じゃなくて演出の仕方の方か)。それと甲児のモミアゲが・・・当時はあそこまで目立ってなかった気がしましたけど、あれはリスペクトのデフォルメだったんでしょうか。
富士山とかは毎回キレイに描かれてて、そこだけ力は入ってるなって気がしました。
妙に描き込まれてる時とそうじゃないところが差が激しいなという気はしました。ロボットなどはCGと手書きの融合らしいんですが、結構CGが手書きに近く仕上がってて、そこはすごく良かったと思うのですが、逆に手書きのところがそういう人の顔とかが微妙に崩れてるのが気になったりとか、その辺でもうちょっと質を揃えてたらもっと完璧になるのに、って思えました。

(6)機械獣
私が今回一番気に入ったシーンは、機械獣が働いているシーンでした。あの光子力プラントを自分たち用に組み上げ直してるところ。それは確かに機械獣が一番役に立つところだよなあと妙な納得が。
もう色とりどりで、上坂さんは「原宿系」って言ってましたけど、たくさん出てきてたくさんやられて、逆にたくさんい過ぎた気もしますね。最初にあしゅら男爵とブロッケン伯爵は別行動でテキサスと富士にいたはずなのに、同じ機械獣いちゃったりしたし、途中で結構たくさんやられたはずななのに、なおたくさん出てきたし。
引き立て役なので弱くて仕方ないですが、なんか可哀想な気もしました。

(7)設定
今回、グレート終了から10年後って設定だったわけですが、さやかが所長になるのは早すぎない?って思ったし、甲児の台詞として「若い皆さんの足をひっぱらないように」って言ってて、26歳だと十分若いんだけどなって思えたので、そこは15年後ってくらいにしておいた方がしっくりきたんじゃないかと思いました。

(8)量子論
小難しい話をこねくり回して、って言う人もいますが、マジンガーに魅せられて科学に興味を持った昭和の子ども達であれば、多元平行宇宙論くらいは知っておいてもおかしくないはずなので、それについてこれないような人はマジンガーZを見る資格がないんじゃないかと思います。
でも、さやかさんはゴラーゴンを自然現象として収めようとしてましたけど、甲児の仮説が正しかったとしたら、まさに光子力こそゴラーゴンとか、そういう異常現象の元なので、光子力研究所の今後の存続はあやしいです。

(9)ストーリー
私的には、今回の話は甲児とDr.ヘルの対立軸において、お互いが「神にも悪魔にもなれる」ということだったんじゃないかと思いました。
甲児がヘルについて語る時「世界征服? それでどうする?面倒くさいだけじゃないか。」とヘルのことを見抜いていたり、ヘルが甲児に対して「本来お前はこちら側の人間」と言ってみたり。また、その今の宇宙を入れ替えるという話にしても、可能性の問題であって選択肢としてあり得たハズの世界を置き換えるというのは、別に本質的には悪ではなく、実は良いことしてる可能性もあるわけで、実はヘルも神だったりする、という矛盾が存在するわけです。
甲児は現世を肯定するという立場からヘルを倒すわけですけど、実際はあり得たハズの世界に置き換わると、あのすでに高校生になってたLISAのいる世界に早めに行けたかもしれないわけで、そっちになってもよかったんじゃん、っていうツッコミを入れて、実は甲児がそういう可能性をぶっ潰したと考えると、実は甲児やマジンガーの方が悪魔だったんじゃないかという説も成り立つわけです。
ちなみに多元平行宇宙なので、ここには出てこないマジンカイザーとか、真マジンガーの世界とかも、実はあり得たハズの世界として描かれてると考えると、それこそどの話もマジンガーの話としては正しいって言えてしまうという、実は裏設定が作られてしまっています。

(10)マジンガーZ
出てくるまでがちょっと長くて焦らされました。しかし、パイルダーオンからの走ってってスクランダークロスとか、空飛ぶ姿とか、超カッコイイです。そして強すぎます。機械獣に結構叩かれてるのに傷一つついてません。そして必殺技のオンパレードで機械獣をなぎ倒していきます。そこはもう爽快です。それなのに、地獄大元帥にやられ過ぎです。その辺の強さのバランスがちょっとおかしいです。そして最後に巨大化します。本当にティガっぽいです。
あの最後の光子力を集める演出、ドラゴンボールの元気玉なのかよーって意見もありますが、どちらかというとティガの最終回の市民から光を集める演出です。マジンガーって実はウルトラマンっぽい感じもめっちゃしてるし、そういうアニメ特撮の歴史を経てのマジンガーってところに持っていきたかったのかと思うと、全方位にいろいろ取り入れているのも、まあそれはそれでそう作りたかったんだろうと思うし、私はそれこそそれを肯定しちゃう立場でいます。「それでも」ってUCのバナージみたいに言っちゃう台詞とか、ガンダムからも取り入れますかって感じで、本当にマジンガーがこれまで与えてきた影響を還元してもらいますよ的な演出だったんじゃないかと思います。だからこそ、何でもありでOKだったと。


(11)正史
そうは言ってもグレンダイザーです。デューク=フリードはどこに行ってしまったんですか?
(実はそんなに好きじゃなかったけど)私が初めて買ってもらった超合金はグレンダイザーだったからっていうわけでもないですが、やっぱり、マジンガーZ、グレートマジンガーと来て、グレンダイザーがあってこその兜甲児の物語ではないのですか? ガンダムだって、1stガンダム、ZときてZZの三部作で正史とされてるんです。マジンガーも、マジンカイザーとかでもグレンダイザーは無視されて、正統な10年後ってところでみんな期待したハズです。グレンダイザーも踏まえた上での10年後を。
というところで、平行次元の宇宙の中に存在するグレンダイザーもいたはずのマジンガーの世界。次にはそれが描かれることを楽しみにしています。

新たなる未来に向かってマジンゴー!

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このページは、zyoyatakuが2018年1月18日 22:07に書いたブログ記事です。

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